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サッカーライター経験ゼロでドイツに飛んだ男のキャリア戦略

職業としてのサッカーライター①

■六本木に“国内留学”していたことも。

 言葉の壁はなかったのだろうか。聞けば、取材は英語で行っていたという。そして清水さんは英語には覚えがあった。まず大学時代の環境が恵まれていた。

「僕が学んだ会津大学はコンピュータの他に英語に力を入れる大学で、そこで鍛えられた。第二外国語がない代わりに、英語の必修科目が多くて。教授も半分くらいは外国人でした」

 さらに社会人時代には、六本木に繰り出し、実地で英語を鍛えていたという驚きのエピソードも。

「ドイツに行く前に、自分で六本木行ってバーカウンターで外国人と話したりしていました。あとは当時、少しお金を出すと日本に来ている外国人と会話をして勉強できるサービスがあった。それを利用して週に2回ぐらい、サッカー好きのスコットランド人にサッカー英語をいっぱい教えてもらった。得点するという動詞は、『スコア』で、よく使う言葉だよ、とか。初歩的なものですけど、生きたサッカー英語は役立ちました。その他には、外国人のいるゲストハウスに引っ越して、日本に滞在している外国人と友達になり、とにかくばんばん、話して、話して。そうやって鍛えました」

 海外に行って、自分の強みを作る。そう決めてドイツに飛ぶ前に、語学面は入念に準備していたのだ。

■ドイツでのオリジナルな日々をブログにつづった

 ふたたび、ドイツ時代に戻る。前述の『スターサッカー』以外に、自分でブログも書いていたという。そのブログで意識していたのは“独自性”だ。

「何の経験もないやつが、普通にサッカーの事を書いても価値がない。だから僕は現地でサッカーに触れ合っている、という状況を前面に押し出して記事を書いていました。フランクフルトに住んでいたんですが、そこは住民の4分の1が外国人という土地。そんな街のクラブに殴り込みで参加して。メンバーも20何人中、ドイツ人が3人ぐらいしかいないんですよ。ほかはギニア、チュニジア、イタリア、アメリカ…多国籍なプレーヤーがわんさかいる中にジャパニーズが突然入って。でも何を言っているかわからない。『ラオス!ラオス!』ってやたら怒鳴られるけど。それが数日して、やっと『(ディフェンスラインを)上げろ!上げろ!』という意味だとわかったりする。そういうことを沢山経験しながら、ブログを書いていった。自分の独自性を出して、面白いと思ってもらえるものを作っていました」

次のページそして日本へ逆輸入。『ストライカーDX』へ合流

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清水 英斗

しみず ひでと

1979年生まれ。岐阜県出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。ド イツやオランダ、スペインなどでの取材活動豊富。ライターのほか、ラジオパーソナ リティー、サッカー指導、イベントプロデュース・運営も手がける。過去には東京都 リーグ2部でプレー。現在も週に1回は必ずボールを蹴っており、海外取材の際に は、現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。主著 に『サッカー「観戦力」が高まる』(東邦出版)『3時間でサッカーの目利きになる』(ベストセラーズ)など。 


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